ガーディアン・アドバイザーズの事業推進チームに新たに加わった新入社員・大井。 M&Aについては、まだ学び始めたばかりです。
この連載では、そんな大井がM&A初心者代表として、CEOの佐藤に率直な疑問を一つずつ投げかけていきます。 1999年から一貫してM&Aに携わってきた佐藤の言葉を通じて、現場の視点でM&Aの基本をわかりやすく紐解いていきます。
前回は、デューデリジェンス(DD)の進め方に焦点を当てました。今回はQ&Aリストについて解説します。
大井
前回、DDでは200〜300問もの質問(Q&A)がやり取りされるとお聞きしました。具体的に、どのようなことが聞かれるのでしょうか。
佐藤
まずは「初期資料開示リクエスト」として、基本的な資料の網羅的な開示が求められます。基本的なといっても、定款や株主名簿、取締役会議事録や規定類などから、決算書、セグメント別の財務情報、組織情報、重要な契約書等々多岐にわたります。
大井
かなり細かそうですね。
佐藤
そうですね。ただし、初期の段階では、上場会社やプライベートエクイティの投資先のような管理体制の場合には、ほとんどは既に社内にある資料を開示することで足り、新たに資料を作成したり分析したりというわけではありません。
大井
社内の管理体制によっては、これらを揃えるのも大変ということもあるのでしょうか。
佐藤
はい。非上場の会社の場合、初期開示資料を整えるのに一苦労ということはあります。
大井
初期というからには、まだ続くわけですよね。
佐藤
まだまだこれからです。買い手から資料に対する質問リストや追加資料依頼がきます。ここから200〜300問の質問のやり取りに入っていくわけです。質問リストは、買い手側が単独で作成しているわけではありません。会計士、税理士、弁護士といった各分野の専門家やビジネスコンサルタント、そしてFAがそれぞれの視点から重要な問いを投げかけていきます。
大井
専門家たちがそれぞれの角度から一斉に聞いてくるとなると、経営陣の方はすべて答えられるものなのでしょうか。やはり多くの場合、「詳細は現場に確認してから回答します」となるのが一般的ですか。
佐藤
一見、「現場の細かいことは把握していないのでは?」と思われるかもしれませんが、優れた経営陣、特にCFO(最高財務責任者)などは、驚くほど細部まで数字と実務を把握していらっしゃいます。
長年ご自身で実務を積み上げてこられた方々ですから、基本的にはどのような角度で問われても、その背景や経緯を含めてご自身の言葉でお答えいただけます。
大井
経営陣自らがそこまで精通しているからこそ、調査を乗り切れるのですね。
佐藤
その通りです。多角的な問いに一つひとつ誠実、かつ正確に答えていくことで、買い手側の安心感が積み重なっていきます。 膨大なやり取りを経て「ありのまま」を理解してもらい、将来の計画についても納得してもらう。このプロセスこそが、M&Aを成功させるための土台になります。