「日本データセンター協会(東京・千代田)によると、大型の設備で1カ所あたり10万キロワット規模の電力供給が必要となるという。単純換算で原発0.1基分」(『日本経済新聞』デジタル版、2021年5月13日)であり、先の見通しとしては、「科学技術振興機構の低炭素社会戦略センターの推定では、現在のサーバーの性能などを前提にした場合、データセンターの30年時点の電力消費(世界)は3000テラ(テラは1兆)ワット時に膨らむ。足元のデータセンターの世界電力消費は200テラワット時程度とされ、現在から15倍程度に膨らむとの試算」(『日本経済新聞』デジタル版、2022年1月23日)が出されている。二酸化炭素の排出量に関しては、「データセンターの電力消費量は、さまざまな消費者の中でも最大級で、世界の電力の2%を消費しており、航空業界全体とほぼ同量のCO2を排出しています。また、その電力消費量は、4年ごとに倍増し続けており、IT業界の中でも二酸化炭素排出量が急速に増加している分野となって」(『Western Digital Japan Blog』、2021年12月10日)いるとの考察もある。
こういった状況の中、国は自動車のEV化を進めようとしている。ヨーロッパでは急激にEVシフトが進んで2035年までにガソリン車の新車販売を禁止する方向に動いており、日本でも前政権下、2035年までに新車を全てEV化する目標が掲げられた。これに対して、豊田章男・日本自動車工業会会長が怒りの会見をしたことは記憶に新しい。その内容が、脱炭素化=電化(BEV化=Battery Electric Vehicle)という目標と、電力供給のキャパシティとの関係で考えさせられる内容なので、最後に少し触れておく。