IT前提経営®️ブログ

2021.10.07

インターネットの大混雑時代を適切な「有線接続」で乗り切ることの重要性

Google ドライブに保存された動画ファイルをYouTubeにアップしたいため、手元のPC(ローカル)にダウンロードしてからYouTubeにアップした。友人からDropboxで共有された旅行の写真を、自分のGoogle ドライブに保存したいため、一度PCにダウンロードしてからアップした。こうした経験がある方は多いのではないでしょうか。

よくよく考えるとこれは、ただでさえ逼迫しているインターネットの通信リソースを無駄にしている可能性があります。例えば前者のケースだと、同じGoogleのサービスであることを考慮すれば、Google ドライブからダウンロードという操作なしに、例えば「YouTubeへ移行」のようなボタンで「設定変更」できれば、大きな動画ファイルをダウンロード/アップロードするための無駄な時間やパケットを消費する必要がなくなるはずです。

これは、GoogleがGoogle ドライブのクラウド領域(サーバー)とYouTubeのクラウド領域(サーバー)の2つを物理的に直結できれば可能になると想定されます。

APIエコノミー時代にはAPI連携の度に「いちいちインターネットを経由する」ということが、通信スピードの面でも、ひいてはインターネットの逼迫するリソースの効率化という面でも重要になります。

実際、英国のISP大手Equinix(NASDAQ: EQIX)などは、自身のネットワーク内にある大手クラウドサービス同士を連携させる場合、一般的なインターネット経由でAPI連携させるのではなく、インターネットを介さずに「直結」させるサービスをだいぶ前から始めています。

これは多国籍の大手ISPなのでできるサービスですが、例えばソーシャルゲームの世界などで、1秒の1/1000くらいのスピードが求められる世界ではとても重要なサービスとなります。また、一般企業のITインフラがSaaSにFit to Standardしていく中で、大手SaaS同士の連携に非インターネット接続(直結)が多様されていけば、スピード側面だけではなく、インターネットの交通渋滞緩和にも貢献することになります。

これまでも、このブログではインターネットの交通渋滞(リソースの逼迫)問題にはいくつかの切り口で触れてきましたが、最近リリースされた、PLC(Power Line Communication:電力線搬送通信)規格の製品なども同じ観点で、市場への再投入になる「かつての」技術の1つです。要は、コンセントに挿すだけでLANにつながることができるデバイスです。

この技術は昔からあり、私も今から2-30年前の学生時代によく使った経験があります。なぜ再登場となったかと言えばIoTによるネットの混雑が背景にあると言えます。

例えば、皆さんもご経験の通り、都市部の集合住宅でWiFiのSSIDを検索すると、お隣や上下のものを含め、無数のSSIDが表示されると思います。このWiFiの「混線」が最終的にネットのスピードを極端に下げる結果になってしまいます。同様のことがカフェでパソコンを広げて、手持ちのテザリングしたスマホにWiFiで接続した際にも起こり、本来のスピードの1/10以下になってしまうことはザラです。

したがって、かくいう私も、カフェではPCとスマホを面倒でもUSBを利用し有線接続することでこの問題から抜け出し、自宅や大学の研究室でも主たるパソコンはLANに有線接続することで、超高速で安定したインターネットの下でストレスなく仕事をしています。

さて、PLCの発想も同様で、家の中に多くある「モビリティ」が伴わないIoT機器(据え置きPC、テレビ、冷蔵庫、スマートスピーカー等)は有線接続させて「スピードは遅くても(PLCの規格では現状ネットのスピードが限定的)安定してネットに接続でき、WiFiのリソースを逼迫させない」ことに資する技術なのです。

また、これまで有線接続を阻んできた最も大きな要因である「LANケーブルの配線」も必要なくなり、従来の電源コンセントがあれば、ルーターを設置している部屋から離れていても、どこの部屋でも有線でネット接続ができるようになるのも重要な点です。

動画をはじめとする大容量時代が一瞬にして到来し、企業は大企業のみならず中小零細企業もビックデータの構築を始めました。大容量データ時代には、今一度インターネットのリソースに着目し、その状況にあった適切な技術を導入することが、これから更に求められるようになると思われます。

ぜひご家庭や仕事場で、少し昔に戻って有線接続を試してみてください。それだけでネット環境は数十倍、場合によっては数百倍以上改善することがあると思います。何の投資をせずとも、オンライン会議のストレスがゼロになるでしょう。



ガーディアン・アドバイザーズ株式会社 パートナー 兼 IT前提経営アーキテクト
立教大学大学院 特任准教授
高柳寛樹
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高柳の著書はこちらよりご参照ください。
「IT前提経営」が組織を変える デジタルネイティブと共に働く(近代科学社digital)2020
まったく新しい働き方の実践:「IT前提経営」による「地方創生」(ハーベスト社)2017
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