IT前提経営®️ブログ

2021.08.26

No Making, Just Usingの前に発生するChoosingの重要性について 〜「ウェブサービスの生態系」に係るM&Aストーリーに関心を持つことの重要性〜

クラウドサービスやパッケージを選ぶ際に、発注側でRFP(提案依頼書)を書き、それに対してベンダーが提案を行うという手順を踏むケースが多い。その際、数多あるクラウドサービスの中から何を基準に選ぶのかということが議論になる。

これまで、Fit to Standardの上位概念として、No Making, Just Usingという私なりの言葉とDX実践の第一歩の話を何度かさせて頂いた。当然ではあるが、Usingの前にはクラウドサービスやパッケージなどを選ぶ(Choosing)行為が発生するのだ。 

Choosingにあたっての新しい基軸の一つとして前回は「カーボンオフセット」の視点をグリーン・バリューチェーンプラットフォームを引き合いに出して近い将来に起こることをイメージした。 

ところで、下記は独ERP大手のSAP社がAI人事プラットフォームのSwoopTalentを買収したというVentureBeatの記事である。(記事中では会社の買収ではなくIP:知財の買収と書かれている)

“SAP today announced it has acquired the intellectual property of SwoopTalent, a platform that automatically connects companies’ talent systems and data for analytics, migrations, and machine learning.” 
こちらより引用 

これがいわゆる「ウェブサービスの生態系」の議論であるが、M&Aによりウェブサービス同士の共生と片利共生が繰り返される。しかし、CIO(Chief Information Officer)がこのM&Aのストーリーに無関心だとChoosingに失敗することになる。 

例えば、SAPユーザーでかつ人事プラットフォームとしてSwoopTalentを使っていたユーザーは、このM&Aによってより強固なサービス連携が実現し安心することになる。一方、SwoopTalentの競合サービスを使っていたSAPユーザーからすれば、今後のAPI連携に暗雲が立ち込める可能性がある。 

身近な例では、米BI大手のTableauは先日SFDC(Salesforce.com)に買収されている。SFDCをマーケティング/営業基幹として使っており、一方でBIとしてTableauを使っていたユーザーにとっては大変な朗報だ。しかし、SFDCを使いながらTableauではない別のBIを使っていたユーザーからすれば不安になる。また、SFDCとGoogleは2017年11月に提携をし「GoogleのG SuiteおよびGoogle Analyticsとのクラウド連携を容易にするための契約に署名した」ことを考えると、事務基幹でGoogleを、パブリッククラウドとしてGCP(Google Cloud Platform)を利用していたSFDCユーザーからすれば、ファミリー化するサービス群を前にさらに安心することになるのだ。 

このように、将来ウェブサービスの生態系に何が起こるのか、ということを想像しながら使うサービスを選ぶ(Choosing)行為も重要になるのだ。



ガーディアン・アドバイザーズ株式会社 パートナー 兼 IT前提経営アーキテクト
立教大学大学院 特任准教授
高柳寛樹
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高柳の著書はこちらよりご参照ください。
「IT前提経営」が組織を変える デジタルネイティブと共に働く(近代科学社digital)2020
まったく新しい働き方の実践:「IT前提経営」による「地方創生」(ハーベスト社)2017
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