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#01 DXとは何なのか〜IT化との違いから考える〜

ガーディアン・アドバイザーズの事業推進チームに新たに加わった新入社員・大井。
社内で耳にする機会が増えたDXについて、まだ学び始めたばかりです。
この連載では、大井がDX初心者代表として、当社取締役であり IT前提経営®の提唱者でもある高柳に率直な疑問を投げかけていきます。
大学時代にTECHベンチャーを創業して以来25年以上、クラウドサービスやソフトウェア開発の最前線で活躍し、情報社会学者としての知見を活かして数多くの企業のDX推進・デジタル戦略を支援してきた高柳。そんな高柳の視点を通じて、IT 化との違いから企業変革のプロセスまで、DX の基本をわかりやすく紐解いていきます。
今回は
DXと「IT化」の違いと、DXを段階的に捉える3つのフェーズについて解説します。

大井
ざっくりした質問になってしまうのですが、そもそも「DXって何ですか?」というところから教えていただきたいです。

高柳
はい。DXを理解するには、まず「IT化」と比較するとわかりやすいです。IT化やデジタル化というのは、既存の業務や生活をITで便利にすることです。

大井
業務を効率化するというイメージでしょうか?

高柳
そうです。一方でDXは、デジタルトランスフォーメーションの略で、よく「DX化」と言われることがありますが、それは“頭痛が痛い”みたいな話なのですよね。トランスフォーメーションなので、「デジタルを使った結果、仕事やビジネスの形がまったく違うものになる」ことを指しています。

大井
まったく違うもの、というのは?

高柳
例えば、デジタルを前提にすると、「経験年数が長いから決裁できる」ではなく、「データを見て判断できる人が決める」ようになります。その結果、若いデジタルネイティブ世代に自然と権限が移ったり、意思決定のプロセスやスピードが大きく変わったりする。

これは単に業務が楽になった、コストが下がった、という話ではありません。結果として、これまでできなかったサービスを始められたり、新しい顧客層にアプローチできるようになったりして、ビジネスそのもの、つまり事業ドメインが変わっていくのです。

大井
IT化をした先にDXがある、という理解は合っていますか?

高柳
それは合っています。DXにはフェーズがあって、今おっしゃったIT化・デジタル化はフェーズ1です。正しいシステムを入れて、データをきちんと整理して溜めておかないと、DXは起こらない。

大井
確かに、データがなければ何もできませんよね。

高柳
そうです。若い人に権限を渡すにしても、ITがなければ仕事ができない。新しいビジネスを考えるにしても、データがなければ判断できない。だからまずは土台として不可欠な守りのDX、フェーズ1が必要になります。

大井
その先がフェーズ2、フェーズ3、ということですか?

高柳
そうです。フェーズ2は、溜まったデータを参照して、図表にしたり、経営判断に使ったりする段階。フェーズ3は、そのデータを使って新しい売上を作ったりこれまでとまったく異なるビジネスを生み出す段階です。#01-1
大井
フェーズ3まで進んでいる企業は多いのでしょうか?

高柳
正直、少ないと思います。世の中を見ていると、フェーズ2までできている企業が「進んでいる企業」と評価されているのが現実で、フェーズ3まで到達している事例はあまり多くないです。

大井
フェーズ2から3に進むのは、かなり大変そうですね。

高柳
時間はかかります。日本企業は、ITを導入すること自体は得意ですが、それを使ってビジネスを変えるのが苦手です。

大井
なんとなくわかる気がします。

高柳
計画は立てられます。デジタル推進室を作って、「これを入れたらこうなるはずだ」と考える。でも、すべての経営者と社員が理解して、仕事のやり方や意思決定を変えるところまでいかない。

大井
DXは、ツールの話ではないんですね。

高柳
そうです。DXはITの話ではなく、会社の考え方や動き方の話です。だから簡単ではないし、時間もかかる。でも、そこまで行かないと意味がない。

大井
今日のお話で、「DX=IT化」だと思っていた自分の認識は、かなり違っていたと感じました。

高柳
それに気づけたなら、今日は十分だと思いますよ。次は、DXが進むと企業は実際に何が変わるのか、具体的な話をしていきましょう。

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