ブラウザ群雄割拠の現状を見れば、IEのサポート終了、つまりIEという一アプリケーションのEOSL(End Of Service Life)が発生し、IEに依存していたシステムがいずれサポートされなくなるということは容易に想定できる。これを踏まえて各ブラウザの戦略や特性をユーザー側が見極めて選択していくという消費者行動は、歴史上、あるいはIT前提経営®︎的にも明白であるにもかかわらず、そこになかなか関心が向かない(具体的には改修のための予算が付かない)現実がある。
EOSLに振り回されずに業務を遂行するためには、システムを業務に合わせるのではなく、業務をシステムに合わせる「Fit to Standard (FtS)」という思想のもと、既存のサービスやパッケージをそのまま採用するのが合理的だ。私の言葉では「No Making, Just Using」と更に具体的に言っている。この方針が実施されると、文字通り「作らず、使うだけ」であるから、クラウドサービスが日々進化していけば、月々定額を支払っているだけで、システムがどんどん改良されていく。下記はERP最大手SAP社のクラウドの例だが、3カ月に一度のペースで多くの機能が新たに増えていることがわかる。