M&A入門 | M&AとDXの実行支援 | ガーディアン・アドバイザーズ株式会社

#01 M&Aって何?合併と買収の基本からはじめよう

大井 
佐藤さん、M&AはMergers and Acquisitionsの略で合併と買収という意味ですよね。いまいちイメージが湧きません。 

佐藤 
実際の出来事で考えるとイメージしやすいと思う。例えば、三菱UFJ銀行はもともと1つの銀行だったわけじゃない。 
東京銀行と三菱銀行が合併して東京三菱銀行になって、さらに東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して、今の三菱UFJ銀行がある。こうやって会社同士が一つにまとまる形が合併。 
買収というのは、会社間に上下関係が生まれるイメージ。最近話題の、日本製鉄とUSスチールの件。あれは合併じゃなくて、買収。USスチールの株を日本製鉄が買って、親会社と子会社の関係になった。 

大井 
合併だと上下関係はなくて買収は上下関係があるんですね。 

佐藤 
上下関係と言っても、立場が偉いとかそういう話ではなくて、株主としての関係のこと。 
株式会社というのは、必ず株を発行していて、株主が存在する。その中で株を過半数以上持っている会社があれば、その会社は親会社の立場になる。つまり買収というのは、株を取得して親会社と子会社の関係をつくること。合併の場合は、会社同士が一つにまとまって、新しい会社になるイメージ。 

大井 
合併の時って、株の移動はあるんですか? 

佐藤 
株の移動はある。例えば、日本製鉄は新日本製鐵と住友金属が合併してできた会社だけど、そのケースを例にすると分かりやすいと思う。 
新日本製鐵にも住友金属にも、それぞれ株主がいた。合併して一緒になるときは、どちらかが吸収する側、どちらかが吸収される側になる。このときは、新日本製鐵が住友金属を吸収する形を取った。吸収される側、つまり住友金属の株主は、自分が持っていた住友金属の株を新日本製鐵に渡して、その代わりに新日本製鐵の株を受け取る。簡単に言うと、株を交換する。そうすると、結果的に全員が新日本製鐵の株主になる。 

こういうM&Aを実行するときの手段や方法は、スキームと呼ばれる。例えば「株式交換」とか「株式移転」とか「事業譲渡」とか。
要はM&Aは、スキームを適切に用いて、会社と会社を何らかの形で結びつけること。合併のように一つの会社になることもあれば、グループ企業や親子会社の関係になることもある。どのようなスキームを選択して、どのような資本関係を構築するかを設計することをストラクチャリングという。 

例えばさっきのように、新日本製鐵と住友金属が合併した場合は、会社が一つになるから、売上も全部まとめて「新しい会社の売上」として扱われる。 
仮に合併じゃなくて、新日本製鐵が住友金属の株を100%買って子会社にしたとすると、会社の形は2つのままだけど、親会社と子会社の関係になる。この場合も、親会社である新日本製鐵は、子会社である住友金属の業績を「連結決算」という形でまとめて計算するから、グループ全体としての売上は、やっぱり2社分が合わさった数字になる。 

だから、合併でも買収でも、最終的には経営的に一体で動いているような状態になる。「会社同士がくっついて一緒に動いている」と思ってもらえれば、大きな理解としては合ってる。 

大井 
なるほど、だんだんイメージがつかめてきました。でも、そもそもなんで企業はM&Aをやるんですか? 


次回へ続く
次回は、「なぜM&Aを行うのか?」という根本的な問いに迫ります。ビジネス・財務・法務、3つの観点から解説します。