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#04 DX成功の秘訣〜変化を受け入れる〜

ガーディアン・アドバイザーズの事業推進チームに新たに加わった新入社員・大井。
社内で耳にする機会が増えたDXについて、まだ学び始めたばかりです。
この連載では、大井がDX初心者代表として、当社取締役であり IT前提経営®の提唱者でもある高柳に率直な疑問を投げかけていきます。
大学時代にTECHベンチャーを創業して以来25年以上、クラウドサービスやソフトウェア開発の最前線で活躍し、情報社会学者としての知見を活かして数多くの企業のDX推進・デジタル戦略を支援してきた高柳。そんな高柳の視点を通じて、IT 化との違いから企業変革のプロセスまで、DX の基本をわかりやすく紐解いていきます。
前回
は、DXを阻む最大の壁が「技術」ではなく「組織と文化」にあることを見てきました。では、その壁を越えてDXを前に進める企業には、どのような共通点があるのでしょうか。今回は「変化を受け入れる力」に焦点を当てます。

大井
今回はDXに成功する企業の共通点について伺いたいです。前回は、DXを阻む最大の壁が技術ではなく、組織や文化にあるというお話でした。では、そうした壁を越えていく企業には、どんな特徴があるのでしょうか。

高柳
一言でいえば、変化を素直に受け入れられることです。過去の成功体験や、今の役割分担にこだわりすぎず、環境の変化に合わせて自分たちをアップデートできる企業ほど、DXは進みやすいんです。

大井
なるほど。やはり技術そのものより、組織の姿勢が大きいのですね。

高柳
その通りです。面白いことに、本当にDXがうまくいっている企業の中には、そもそも「DXをしているつもりがない」企業があります。ITベンチャーなどは最初からデジタル前提でビジネスを組み立てているので、「さあ、DXを成功させよう」という意識すら持つ必要がないんですよね。

大井
たしかに、最初からデジタルが前提なら、あえてDXと意識しないのかもしれませんね。そう考えると、私たちの世代ではDXという言葉自体は当たり前に聞いてきましたが、そもそもこの言葉はいつ頃から広まったのでしょうか。

高柳
DXという言葉や考え方の源流としては、2000年代前半の議論がよく参照されます。日本で経営課題として広く意識されるようになったのは、2018年の経済産業省の「DXレポート」以降ですね。実はコロナ前は、今ほど一般に浸透していたわけではありませんでした。

大井
そうだったのですね。世代によって受け止め方が違うのも、そのあたりが影響していそうですね。

高柳
かなり違うと思いますよ。大井さんの世代や、今の中高生は完全にデジタル前提で動いています。私が教えている高校生たちは、当たり前のように、授業中に生成AIを上手に使っています。
新しいツールを使うこと自体への抵抗感が薄い。一方で、企業の側にはまだ過去の前提や慣習が残っている。そのギャップが、DXの進み方にも表れます。

大井
既存の大手企業などではどうでしょうか?

高柳
会社の組織文化によって大きく異なると言えます。インターネットは権威を失墜させる機能を持っています。情報が一部の人に独占されず、広く共有されることで、これまで情報を握って権力を維持していた人が、どんどんその立場を失っていく。

大井
情報が透明化されることで、ごまかしが効かなくなるのですね。

高柳
その通りです。だからこそ、既得権益や自分たちの「偉さ」を守ろうとする組織ほど、DXは進みません。逆に、素直に変化を受け入れられる企業が強い。事業環境の変化に応じて投資領域や打ち手を柔軟に変えていける企業はその典型と言えるでしょう。

大井
逆に、DXがうまくいかない企業の典型的な例はありますか?

高柳
はい、沢山あります。例えば、自社開発したシステムがあり、AIなどを実装した同様以上の機能をもったクラウドサービスが出た際に、既存システムの除却を嫌って、良いものに乗り換えられず、ビジネスのチャンスを大きく逃すような事例は多く見てきました。あるいは、いわゆるデジタルの知識があり、使い方が上手な「IT人材」がアルバイトや契約社員、一般職と言われるポジションにいた場合、会社のルールを柔軟に運用できず、優秀なIT人材の能力を活用できなかったり、逃してしまったりということが、ビジネスに大きく影響を与えるケースも多くありました。いずれも、経営の柔軟性の課題だと認識しています。

大井
それはもったいないですね。

高柳
このように、インターネットの性質を理解せず、既存のルールを柔軟に運用できない組織の場合、いくら素晴らしい評価のあるシステムを入れても成果が出ません。DXの成否を分けるのは、技術そのものよりも、変化によって揺らぐ役割や慣習を、それでも組織として受け入れられるかどうかなんです。

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